トップページ > 医師関連コラム「メタボ検診は意味がある?」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医師関連コラム

  • メタボ検診は意味がある?

一連の保険制度の改革で、将来的に人工透析などの高額な医療につながる糖尿病などの生活習慣病を、若い段階で予防することも大きなテーマとなりました。

これまでの臨床医学中心の医療から、事前にリスクを把握しその回避策を考える予防医学へのシフトチェンジと呼んでもいいかもしれません。

喫煙や肥満などが原因となる生活習慣病は、がんや心臓病、脳卒中などの要因となることが指摘されています。厚生労働省の統計によると、こうした生活習慣病が遠因になる病気は2003年(平成15年)の時点で死因の6割、医療費の約3割を占めています。肥満や血圧、脂質、代謝系(血糖値など)の4項目について、健康診断ですべて異常が見つかった人と異常が一つも見つからなかった人とを比べると、10年後の医療費に約3倍の差が出るというデータもあります。

そこで2008年(平成20年)4月から医療保険者(国保・被用者保険)において、40〜74歳の被保険者・被扶養者を対象とする、内蔵脂肪型肥満に着目した検診及び保健指導の事業実施が義務づけられました。いわゆるメタボ検診です。

しかし、厚生労働省によるとその受診率は、全国で38.3%に過ぎません。政府は、大企業の健康保険組合で80%、中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)で70%をそれぞれ受診率の目標としていますが、この調子では達成するのは難しいでしょう。

さらに今回の調査によると、検診の結果、生活習慣病の原因になるとされるメタボリック症候群と診断された人は約288万人、予備軍も約247万人に上りました。しかし、診断後に保健指導を受けたのは、指導が必要とされた約394万人のうち7.8%にあたる約31万人に過ぎなかったそうです。

日本公衆衛生学会のフォーラムでも、「非効率的」「判定基準や評価の在り方が疑問」「本当に保健指導が必要な人が対象から外れる」「指導する側もされる側も負担が大きい」「未受診者の把握や受診勧奨の手段も限界に近い」などと現場の医師や保健師らから疑問の声があがりました。これでは「メタボ」という言葉だけが一人歩きしてしまったに過ぎず、実際にその効果が現れるかどうかは甚だ疑問です。

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