医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。
厚労省の姿勢に変化が現れたのは、2000年代の後半のことです。 医師が不足している地域で医療崩壊が深刻化したことや、団塊の世代が75歳の後期高齢者に突入する2025年にわが国の医療費はピークを迎えるとの想定から、「緊急医師確保対策」として医学部の定員を増加に踏み切ったのが、2008年です。 以後2013年までの4年間で、医学部定員は1000人以上増加しています。 さらに2013年には、東日本大震災の影響で医療機関が大きな打撃を受けた東北地方に、特例的に新しく医学部を新設することも決まっています。 毎年、医学部の定員である約9000人の医師が生まれ、一方で高齢などを理由に退職する医師が年4000人前後います。それを差し引いても、年間あたり4000人ずつ医師は増えていく計算になります。 日本はこれからさらに人口減少社会になりますから、将来的には、日本の医師と患者の割合は、徐々に欧州などの水準に近づいていくと考えられます。 ただここで問題になるのは、高度な専門技能を担う医師の養成には、長い時間がかかるということです。 一般に、医学部に入学した学生が医師として独り立ちするまでには、最低でも10年前後、長くみれば20年はかかります。 今、医師を志して学んでいる若者が各地で実際の医療の担い手になるのはまだ先のことで、当面は医師不足の状態が続くことになります。 国のほうでも、勤務医の負担軽減について少しずつ対策をとり始めています。その代表が、医療クラーク(秘書)の積極的活用です。 クラークが医師の指示で、生命保険や介護保険の診断書作成などの書類仕事を行い、医師は内容を確認してサインするだけにすれば、医師の負担は大きく軽減されます。 厚生労働省は、医療クラークを一定の割介で雇用する病院に診療報酬を加算することで、このシステムの浸透を図っています。 「勤務医の負担軽減に効果のあった取り組み」を調べた厚生労働省の調査では、この「医療事務補助体制」を挙げた医療機関が47.4%、第1位を占めています。 また、医師や看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などのコメディカルとの業務の分担も、推進しています。 医療行為のなかには、医師だけが行えるものと、看護師などの他の職種が業務を分担できるものがあります。 それを精査・分析して医師とスタッフとの間で適切な業務分担が進めば、勤務医の負担を減らすことができます。 ただし、現在の日本では、医師不足とともに看護師を採用したくても、人材が集まらないという病院も少なくありません。 そのため、医師をはじめとする職員数や勤務環境は医療機関によってかなり差があり、厳しい環境の病院ほど人が集まりにくく、なかなかその状態を抜け出せないという悪循環も生まれています。 そこで次回以降、過酷な労働環境のなかで疲弊し、心や身体を壊してしまう医師と、そうならない医師の違いについて、具体的な事例も挙げつつ、さらに考えていきます。 <続く> 医師転職支援会社を調べてみたいと思ったら >>>医師転職サイト比較ランキング+口コミ評判
目次
医師を取り巻く問題
厚労省の姿勢に変化が現れたのは、2000年代の後半のことです。
医師が不足している地域で医療崩壊が深刻化したことや、団塊の世代が75歳の後期高齢者に突入する2025年にわが国の医療費はピークを迎えるとの想定から、「緊急医師確保対策」として医学部の定員を増加に踏み切ったのが、2008年です。
以後2013年までの4年間で、医学部定員は1000人以上増加しています。
さらに2013年には、東日本大震災の影響で医療機関が大きな打撃を受けた東北地方に、特例的に新しく医学部を新設することも決まっています。
毎年、医学部の定員である約9000人の医師が生まれ、一方で高齢などを理由に退職する医師が年4000人前後います。それを差し引いても、年間あたり4000人ずつ医師は増えていく計算になります。
日本はこれからさらに人口減少社会になりますから、将来的には、日本の医師と患者の割合は、徐々に欧州などの水準に近づいていくと考えられます。
ただここで問題になるのは、高度な専門技能を担う医師の養成には、長い時間がかかるということです。
一般に、医学部に入学した学生が医師として独り立ちするまでには、最低でも10年前後、長くみれば20年はかかります。
今、医師を志して学んでいる若者が各地で実際の医療の担い手になるのはまだ先のことで、当面は医師不足の状態が続くことになります。
国のほうでも、勤務医の負担軽減について少しずつ対策をとり始めています。その代表が、医療クラーク(秘書)の積極的活用です。
クラークが医師の指示で、生命保険や介護保険の診断書作成などの書類仕事を行い、医師は内容を確認してサインするだけにすれば、医師の負担は大きく軽減されます。
厚生労働省は、医療クラークを一定の割介で雇用する病院に診療報酬を加算することで、このシステムの浸透を図っています。
「勤務医の負担軽減に効果のあった取り組み」を調べた厚生労働省の調査では、この「医療事務補助体制」を挙げた医療機関が47.4%、第1位を占めています。
また、医師や看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などのコメディカルとの業務の分担も、推進しています。
医療行為のなかには、医師だけが行えるものと、看護師などの他の職種が業務を分担できるものがあります。
それを精査・分析して医師とスタッフとの間で適切な業務分担が進めば、勤務医の負担を減らすことができます。
ただし、現在の日本では、医師不足とともに看護師を採用したくても、人材が集まらないという病院も少なくありません。
そのため、医師をはじめとする職員数や勤務環境は医療機関によってかなり差があり、厳しい環境の病院ほど人が集まりにくく、なかなかその状態を抜け出せないという悪循環も生まれています。
そこで次回以降、過酷な労働環境のなかで疲弊し、心や身体を壊してしまう医師と、そうならない医師の違いについて、具体的な事例も挙げつつ、さらに考えていきます。
<続く>
医師転職支援会社を調べてみたいと思ったら
>>>医師転職サイト比較ランキング+口コミ評判