医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。
勤務医の労働環境が改善していない証拠に、関西医科大の事件を経た現在も、医師の過労死や過労自殺は各地で報告されています。医師の世界では、なぜ、このような過重な働き方が、なかなか変わらないのでしょうか。 その理由のひとつには、医師という職業の特殊性があると思います。 一般に、働く人の労働環境は労働基準法という法律で管理すれば、改善できるのではないかと考える人も少なくないと思いますが、実は難しい問題がいくつかあります。 実際に、現在の体制(医師数その他)で医師の仕事をすべて週40時間内にすることは不可能でしょう。それこそ医療の崩壊を招くため、ある程度の時間外労働はやむを得ないと思われます。 時間外労働について取り決める36協定を結んでいないケースや厚生労働省の指導である「時間外労働は月45時間、年間360時間を超えない」とはかけ離れた、過労死ライン(月80時間)を超える120時間以上の時間外労働を可とする36協定も結ばれているケースも見られるようです。 また、協定が結ばれていても、それを医師当人が知らずに、協定は名ばかりで過剰な時間外労働となっていることも多く、労働環境を考える以前の問題とも言えます。 医師不足によりやむを得ない診療科や地域があるのは事実ですが、ルールをつくること、守ることをまったく無視するのでは、何も変わりません。 労基法により規定された労働環境を意識し、その労働環境に少しでも近づけるように雇用者、被雇用者ともに努力していかなければならないと思います。 また医師の立場の問題もあります。医師を労働者ではなく「管理職」扱いにしている医療機関も少なくありません。管理職は、労働者と違い、自分の裁量で仕事をする権限が多いことから、時間外労働について労働基準法は適用されません。 なかには意図的か否かはわかりませんが、「医師はすべて管理職に該当する」という誤った解釈をして、医師の長時間労働を放置しているケースもあるようです。 医師の宿直・日直やオンコールの「待機時間」についても、法律と現実の間には落差があります。労働基準法では、一般的な宿直・日直は、「通常の業務がほとんど行われない」という用件を満たす場合は、勤務時間としてカウントしないことが許されています。 そのため医師が宿直・日直で救急患者の対応をしていても、患者に接した5分、10分というわずかな時間だけが「勤務時間」とされ、診療の準備や事務処理、そのほかの待機時間は、一切労働時間に含まれないという事態が起こります。 いわば労働基準法の隙間をつくようなかたちで、医師の過重労働は見過ごされてきたわけです。 働く人を守る労働関連の法規には、労働基準法と並んで労働安全衛生法もあります。 これは、職場における労働者の安全と健康の確保や、快適な職場環境の形成を定めた法律です。勤務医の職場でいえば、労働時間の長短だけでなく、宿直の際には心身を休めることのできる宿直室を確保するといった、衛生的で安全な職場環境を規定するものです。 しかし、これについても労働基準法と同様、法律が順守されているとはとてもいい難い状況です。 衛生的でも快適でもない小さな簡易ベッドで宿直をこなす勤務医は少なくなく、快適な休憩室を備えた病院や、職場内でバランスのとれた健康的な食事がとれる医療機関も、まだまだ限られているのが現実です。 <続く> 医師転職支援会社を調べてみたいと思ったら >>>医師転職サイト比較ランキング+口コミ評判
勤務医の労働環境が改善していない証拠に、関西医科大の事件を経た現在も、医師の過労死や過労自殺は各地で報告されています。医師の世界では、なぜ、このような過重な働き方が、なかなか変わらないのでしょうか。
その理由のひとつには、医師という職業の特殊性があると思います。
一般に、働く人の労働環境は労働基準法という法律で管理すれば、改善できるのではないかと考える人も少なくないと思いますが、実は難しい問題がいくつかあります。
実際に、現在の体制(医師数その他)で医師の仕事をすべて週40時間内にすることは不可能でしょう。それこそ医療の崩壊を招くため、ある程度の時間外労働はやむを得ないと思われます。
時間外労働について取り決める36協定を結んでいないケースや厚生労働省の指導である「時間外労働は月45時間、年間360時間を超えない」とはかけ離れた、過労死ライン(月80時間)を超える120時間以上の時間外労働を可とする36協定も結ばれているケースも見られるようです。
また、協定が結ばれていても、それを医師当人が知らずに、協定は名ばかりで過剰な時間外労働となっていることも多く、労働環境を考える以前の問題とも言えます。
医師不足によりやむを得ない診療科や地域があるのは事実ですが、ルールをつくること、守ることをまったく無視するのでは、何も変わりません。
労基法により規定された労働環境を意識し、その労働環境に少しでも近づけるように雇用者、被雇用者ともに努力していかなければならないと思います。
また医師の立場の問題もあります。医師を労働者ではなく「管理職」扱いにしている医療機関も少なくありません。管理職は、労働者と違い、自分の裁量で仕事をする権限が多いことから、時間外労働について労働基準法は適用されません。
なかには意図的か否かはわかりませんが、「医師はすべて管理職に該当する」という誤った解釈をして、医師の長時間労働を放置しているケースもあるようです。
医師の宿直・日直やオンコールの「待機時間」についても、法律と現実の間には落差があります。労働基準法では、一般的な宿直・日直は、「通常の業務がほとんど行われない」という用件を満たす場合は、勤務時間としてカウントしないことが許されています。
そのため医師が宿直・日直で救急患者の対応をしていても、患者に接した5分、10分というわずかな時間だけが「勤務時間」とされ、診療の準備や事務処理、そのほかの待機時間は、一切労働時間に含まれないという事態が起こります。
いわば労働基準法の隙間をつくようなかたちで、医師の過重労働は見過ごされてきたわけです。
働く人を守る労働関連の法規には、労働基準法と並んで労働安全衛生法もあります。
これは、職場における労働者の安全と健康の確保や、快適な職場環境の形成を定めた法律です。勤務医の職場でいえば、労働時間の長短だけでなく、宿直の際には心身を休めることのできる宿直室を確保するといった、衛生的で安全な職場環境を規定するものです。
しかし、これについても労働基準法と同様、法律が順守されているとはとてもいい難い状況です。
衛生的でも快適でもない小さな簡易ベッドで宿直をこなす勤務医は少なくなく、快適な休憩室を備えた病院や、職場内でバランスのとれた健康的な食事がとれる医療機関も、まだまだ限られているのが現実です。
<続く>
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