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冒頭でも述べたように、私は、仕事で疲弊し切って職を離れる医師たちを数多く見てきました。

そのなかで考え続けてきたことは、現状の日本の医療システムのなかで、「医師が心身ともに健康に働くためには何が必要か」ということです。

確かに勤務医の労働環境は過酷で、超高齢社会や情報社会が進むなかで医師にかかる負担は増大しています。

しかしだからといって、個々の医師が辛い状況にじっと耐えているだけでは事態はなかなか改善していきません。

医師という責任の重い職業であっても、むしろ日本の医療を担う社会的財産である医師だからこそ、もっと「気持ちよく働き続けられる」ことを真剣に考えるべきだと思います。

そして、そのために医師個人が取り組めることもあるというのが私の実感です。

そこで、大きく「医師の心身の健康や労働環境」「将来の展望がもてるキャリア形成」、そして「勤務医を取り巻く人間関係や地域医療」という三つの観点から、医師が健康に働くための条件について、提案してみたいと思います。

・医師が心身ともに健康に働くための１０の条件

１．過酷な労働環境を「人助け」と思わせない

２．適切な勤怠管理を行う

３．医師に健康診断を受診させる

４．医師自身にキャリアプランを考えさせる

５．医局以外のキャリアも用意する

６．幅広い視野で活躍の場を用意する

７．医師と医療機関のミスマッチをなくす

８．周囲の人とのコミュニケーションを重視する

９．“患者教育”で医療を救う

１０．医師一人ひとりの声をすくい上げる

それでは各項目について、次回以降、順にみていくことにしましょう。

＜続く＞

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