トップページ > 医師を取り巻く問題「過酷労働で発生する医療ミス」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医師を取り巻く問題

  • 「過酷労働で発生する医療ミス」

宿直などを含めた長時間労働や、十分な休息がとれない働き方で問題になるのは、「医療の質」が低下したり、「医療の安全」が脅かされることです。

海外の研究では、医師の長時間の過重労働が、診療時の業務遂行能力や、医療の安全性に悪影響をもたらすというさまざまな事例が報告されています。

たとえば、腹腔鏡シミュレーターを用いて医師の過重労働が業務遂行能力にどのような影響を及ぼすかを調べた実験では、夜間の睡眠を中断した(夜関宿直中に呼び出しを受けた)群と、睡眠の中断がない群を比較すると、中断があった群のほうが操作時間がより長く、エラーの回数も多くなったことが示されています(1998年、Lancetほか)。

また、正確な判断力や操作能力を調べるために行った運転シミュレーターによる自動車走行の安全性テストでは、当直で夜間に呼び出された際の医師の運転技能は、アルコール摂取時と同等か、またはそれ以下という指摘もあります(2005年、JAMA)。

安全面については、「3日に1回24時間以上の長時間勤務をしたグループと、連続勤務の上限を16時間、週あたり労働時間を60〜63時間に制限したグループとを比較したところ、前者の長時間労働群で処方ミスと診断ミスが明らかに多かった」「前日に当直をした医師が執刀した手術において、有意に合併症が多かった」といった種々の報告もあります。

さらに、日本病院会が勤務医を対象に、2007年に行った調査「勤務医に関する意識調査報告書」によると、医療事故や医療過誤が起こる原因として「過剰な業務に伴う慢性疲労」を挙げた医師が7割を超えています。

「勤務医の就労実態調査」でも、医療事故につながりかねないような「ヒヤリ」あるいは「ハッと」した体験(ヒヤリ・ハット体験)の有無について調査しています。その結果をみると、慢性的な疲労感や睡眠不足を感じている医師ほど、ヒヤリ・ハット体験があると答える割合が高く、「ほとんど当てはまる」と「ときどき」を合計すると8割以上に上っています。

こうした集中力を失うような過酷な労働環境で、診療という重責を伴う業務を行うことは、医師にとって大きな負担になります。日々の診療のなかで自分でも「危ない」「やばい」と感じながら働き続けることは、医療事故が起きやすくなるだけでなく、強いストレスから医師が心身の健康を損なう要因にもなります。

実際に、日常的に疲労感を感じている医師の73.8%が自分自身の「健康に不安を感じる」と答えていますし、睡眠不足を自覚する医師では、80.7%が同様の回答をしています(「勤務医の就労実態調査」)。

ギリギリの働き方を続けていて医療事故を起こし、それを機にうつ病などの精神疾患を発症してしまう医師も珍しくありません。本来、若い働き盛りの医師であれば、長時間労働や宿直などの体力的にきつい業務でも、それだけであれば、ある程度までは気力・体力で乗り切れるものです。しかし、そこに医療事故やそれに伴う上司や病院の対応、医師としての将来の閉塞感といった強いストレスがかかると、もともとは強い意志や高い使命感をもっていた医師の心も折れてしまいます。

精神的な疾患以外にも、心臓や脳血管系の疾患などで発作を起こして倒れたり、最悪の場合、突然死に至ることもあります。厚生労働省のデータでは、2012年の医療・福祉業種での脳・心臓疾患による過労死の労災請求は44件、精神疾患での労災請求は、実に201件に上っています。

<続く>

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