トップページ > 医師を取り巻く問題「医療訴訟が医師を追い詰める」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医師を取り巻く問題

  • 「医療訴訟が医師を追い詰める」

2000年頃には、医療事故が続発しています。

有名なのは、手術患者を取り違えた「横浜市立大病院事件」や、注射器を取り違えて患者を死亡させた「都立広尾病院事件」ですが、それを告発するメディア報道が過熱し、広く一般の人々の医療不信を煽った点も無視できません。

この頃から、医療事故で家族を失った遺族から医療訴訟の訴えが増加し始め、1994年には500件余りだった訴訟件数が、1110件と、倍増しています。

医療訴訟の増加には、二つの要素が関係していると思います。

ひとつは、戦後、医療技術や検査機器が進歩したことにより、医療の安全性が格段に高まったことです。それにより日本の医療の「安全神話」が確立され、医者は間違えてはいけない、医療の過誤は絶対に許されない、という心理が社会に醸成されたことです。

そして、もうひとつが、メディア報道にも影響を受けた医療不信、医師不信です。この二つによって、医師による治療中に思わぬ事態が起きたときに、「なぜ治らないのか」「なぜ死んでしまうのか」、それは「医師がミスを犯したから」「医師が職務の責任を果たしていないから」という思考につながり、訴訟や告発を増やしている気がします。

しかし、医療というのは本来、不確実なものです。

どんなに精巧に設計された機械でも想定外のエラーが発生することはあります。まして、人間の体は、機械類とは比べようもないほど複雑で、医学の力では制御できない要素があまりにも多くあります。

そういう不確実な人体や疾患に対し、その時代ごとに可能なベストの治療を探求し、発展してきたのが医療です。その意味では医療がどれほど進歩しても予期せぬ事態は起こり得るし、医療に100%の安全はないといえます。

また高度な教育訓練を受けている医師であっても、人間であることに変わりはありません。人間であるということは、間違いも起こり得るということです。

欧米では、医療に関しても「人は誰でも間違えるもの」という前提に立った安全対策があります。米国医療の質委員会とアメリカ医学研究所がまとめた『TO ERR IS HUMAN』(1999年)では、「人間はどんな仕事でも間違いを犯す。間違うことが難しく、正しくすることが易しいという設計をしておけば、間違いは防げる」として、医療ミスを誘発する長時間労働の規制などを具体的に示しています。

日本はその点、まだまだ意識が遅れているといわざるを得ません。どれほど過酷な労働環境にあっても医師はミスをしてはいけない、医療過誤では医師の責任を問うべきという、医師だけを追い詰める風潮が根強くあると感じます。

<続く>

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