トップページ > 医学生の進路ガイド「解剖学(4)」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医学生の進路ガイド

  • 「解剖学(4)」

<解剖学教授M・K>

学生時代からこれまでの簡単な自分史を紹介し、その中で汲み取ってもらえる何かがあればと願う。

私は、教員の目を通せば極めて不持な学生だったに違いない。

ろくに授業にも出ず、六年間走ってばかりいた。走るのに疲れると自治会活動で気分転換をした。たまたま低学年時から解剖学教室に入り浸り、全く疑問を抱くことなく大学院生としてその教室の門を潜ってしまった。

両親は反対しなかったが、臨床医となり郷里に戻って来てくれるのが望みだった。

しかし、この親の思いを知りつつも、自分のペースで実験、研究ができる基礎医学の魅力は大きなものであった。勿論、将来の低所得は承知の上であった。

当時、教室は血球の研究にあたっていたため、好中球やマクロファージの活性酸素生成について研究した。

しかし、大学院を修了する前後に新任教授が赴任してこられ、研究テーマが変わることになった。教授は神経解剖学が専門で、私自身も興味を抱いていた領域でもあり、この転向に臆躍はなかった。

しばらくして留学の話が持ち上がり、米国セントルイスにあるワシントン大学に三年間学ぶこととなった。

恩師となった指導教授は嘆覚系と辺縁系の大家で、辺縁系と密接な関係を有する前頭前野と視床核との間の線維連絡に関する研究に没頭した。

言葉の問題はあったものの、とにかく仕事に打ち込めるのが楽しくて、これまでの人生で最も充実感を満喫した期間だった。帰国後も同じ研究テーマに従事し、今日に至っている。

このように、自身の半生を振り返ってみると、人生の分岐点において自らの意思または決断で選択して切り拓いた道が意外に少ないことに気づく。

ただ、興味のない方面への歩みは取らなかった。自分の意思で動いたのは学生時代くらいのもので、その後はただ流れに身を任せただけのような気がする。

そして、その流れを作ってくれたのはたまたま出会った恩師たちであった。

大学院での指導教授、神経解剖の道に誘ってくれた上司、そして留学時代の恩師である。

したがって、私が解剖学の道を歩み続けているのは、偶然出会った人々のお陰である。

様々な経験を通して芽生えた自身の堅い意思による道の選択もあろうが、往々にして、私のように出会った人の導きによって人生航路が定まることも少なくないと思う。

いずれの場合でも大切だと思うのは、知りたい、見たい、やりたいということに対して体当りで働きかけることである。

換言すれば「勤勉であれ」ということに尽きる。目標を掲げ、方略を練り、汗水垂らして働くことである。勤勉の先には、少なくとも自分自身を納得させる充足感が待っている。

<続く>

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