トップページ > 医学生の進路ガイド「生理学(1)」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医学生の進路ガイド

  • 「生理学(1)」

<生理学教授N・I>

私は元々内科医である。大学を卒業すると同時に附属病院で研修を行い、その後二年間、大阪にある病院で内科全般のトレーニングを受けた。

その後大学院に進むにあたり、内科の中で専攻を決めなくてはならなかった(当時、研修を終えてから入局を決めるのが普通であった)。

迷った挙げ句、最終的に選んだ糖尿病は、当初私にとってはむしろ地味な分野に思えた。

当時のボスの人柄に惹かれたからというのが正直な動機だと思う。

ところが実際に糖尿病の研究を始めてみて、それまでの長い学部学生・研修医時代に忘れかけていた、「自分で考える喜び」、「新しいことを発見する感動」に出会うことができた。

糖尿病は遺伝的背景によって発症するものの、その原因は全くわかっておらず、実に興味深い疾患であることがわかった。

分子生物学的研究の本格的な幕開けのときに大学院に入った私にとって、糖尿病の研究はやりたいことばかりで、楽しくて仕方がなかった(勿論、そのほとんどはうまく行かず、落ち込むことばかりであったが)。

大学院を修了して基礎医学の道に入った。ちょうどその頃、アメリカから日本に戻り大学の教授になられた先生に誘われたのがきっかけだった。そこは研究センターの中の一教室であったが、基礎医学の道に入ることには何の抵抗もなかった。

大学に移ってから教室の立ち上げをお手伝いすることになるが、ゼロからの出発は全てが新鮮だった。

本格的な糖尿病の研究が始まった。基礎医学の道で生きて行く厳しさを知った。

でも、いい仕事をすれば誰もが認めてくれる、そんな世界が自分には嬉しかった。

この時期に、糖尿病の飲み薬スルホニル尿素剤の作用標的であるATP感受性カリウムチャネルの構造を解明することができた。

内科医として患者さんにしばしば処方していたスルホニル原素剤の作用機構を、自分の手で分子レベルで明らかにすることができたときの感動は今でも忘れることができない。

その後なぜ生理学の分野に進んだのか、と聞かれても困ってしまう。最近の研究は、生理学も生化学もボーダーレスである。

とはいえ、生理学は臨床医学を背景とする幅広い医学をすべて受け入れてくれる。生理学は体の機能を扱う学問であって、私達の研究の究極の目標は全て体の機能につながるのである。

そんな生理学の教室を選んでよかったと思っている。

学生時代に決してまじめに生理学の授業を聞いていたわけではなく、そんな自分が現在生理学の教壇に立っているのは不思議でもあり、いささか気恥ずかしい気がするが、研究することの喜びと、人との出会いの大切さを少しでも学生達に伝えることができればと思っている。

<続く>

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