トップページ > 医学生の進路ガイド「生理学(2)」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医学生の進路ガイド

  • 「生理学(2)」

<生理学教授N・T>

「科学」という言葉は、まぶしかった。「科学者」は最高の憧れだった。子供の頃、私は怪獣のテレビが好きで、ベンチウォーマーでも毎日野球に出かける少年だった。

テレビで怪獣がやられるときは、たいていは超人が出現する。しかし、地球人が「科学的な」最新兵器によって怪獣を退治するときはとても興奮したものだ。

お茶の水博士をはじめ、テレビに出て来る科学者たちが、私のヒーローだった。最近のアニメのように悪い科学者はあまり出現しなかったと記憶している。

人類が月に降り立ったのもこの頃だ。だから、勉強にしても、科学そのものに通じているようにみえた「理科」が好きだった。高校時代は友人たちと「科学的に振る舞う」ことを旨とした。

それは、決して勉強することを意味していなかった。そんな訳のわからない私を不安に思った親に、強く「医者」を勧められたときも、「科学」ができるならと納得した。

はじめから医師になる気のない人聞が医学部に入ってしまった。今考えれば相当な罪である。

医学より面白そうな学聞をたくさん見つけて、そればかりやっていた。「イオンチャネル」に出会うまでは、である。「イオンチャネル」の話は衝撃的だった。それまで、医学は単に経験を集めて記載する学問だと思っていた。知識の羅列と暗記という、私が非科学的と考えて嫌っていたことに終始するのが医学だと思っていた。

でも、「イオンチャネル」を説明しようとした学説は、実験に基づいた整然とした論理に満ちていた。

美しかった。興奮した。新しい医学の方向性をみたような気がした。「イオンチャネル」を講義して下さった薬理学講座の教授の弟子になるのは、ほぽ決まっていた。三年生の冬だったと思う。

戦争や環境破壊、交通事故、薬害など、科学が否定的にみられることが多くなってきた。

さらに、教育の行き詰まりからなのか、「科学嫌い」の子供が増えているという。

本来、医療は科学である医学を基にするものであるはずなのに、敢えて強調されるのはなぜであろうか。

現代の医療は、技量を重んじ経験を過信して、科学的視点、すなわち物事を客観的に批判的にみる態度に欠けているらしい。だから、後輩諸君には、是非、科学としての医学を修めてほしい。

第一線の臨床医になる人ほど、そうしてほしい。それは間違いなく患者さんに貢献することだ。そして、その中のごく僅かでも、基礎医学を志す人が増えてくれれば、と願っている。

<続く>

医師転職支援会社を調べてみたいと思ったら

>>>医師転職サイト比較ランキング+口コミ評判

目次

トップページ
医師転職・求人・募集サイト比較
医師転職アドバイス
医師を取り巻く問題
医学生の進路ガイド
医師関連コラム

口コミを投稿する