トップページ > 医学生の進路ガイド「生理学(3)」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医学生の進路ガイド

  • 「生理学(3)」

<生理学教授T・M>

私は子供の頃から脳というものに興味を持ち、中学や高校時代には脳神経科学に関する入門書などをよく読んでいたが、その根底には、「自分自身は何なのか」という素朴でかつ深遠な疑問があったからだと思う。

ヒトを特徴づける最も重要なものは脳神経系であろうという直感から、脳神経の研究をしたいと思うようになって行った。

脳神経に関して大学でどのような研究が行われているかについては中学生の頃にはあまり知識はなかったが、高校生になって将来の進路を具体的に考えるようになると、医学部では脳神経の基礎的な研究が行われているということがわかった。

さらに、ヒトとは何かを知るためには、ヒトを主な対象とする医学部に進学するのがいいに違いないと考え、医学部入学を目指した。

したがって、私の場合は、多くの同級生とは異なり、医者になるためではなく、脳神経の研究者になることを希望して医学部へ進学したということになる。脳神経と一概にいってもかなり広い分野であり、大学に入学してからもどのようにすればよいのかすぐには決めかねていたが、幸い、私の入学した京都大学医学部では、基礎と臨床のいずれにおいても脳神経関係の研究・臨床が盛んであったため、いろいろな分野を比較することができ、その中でも最も基礎的な神経生理学の道を選ぶこととなった。

大学院に進む頃には、分子生物学が隆盛を極めようとしており、より基本的な細胞レベルでの神経研究がヒトを理解するための近道かもしれないと感じたのがその動機かもしれない。

学部生および大学院生の頃は脊髄運動ニューロンの研究を主に行っていたが、米国でのポスドク時代には、より高次の脳機能の研究を目指して、記憶・学習の中枢である海馬におけるシナプス可塑性の研究を行った。この研究テーマの変更は、私の元来の希望である「ヒトとは何か」を知ることにより近づくことになったと思う。

米国での四年間の留学の後、帰国してからもこの研究テーマをさらに展開し、遺伝子操作マウスの作製・解析を通じて分子レベルから、細胞・組織レベル、さらには個体レベルでの解析を総合的に行い、分子・細胞レベルでの現象が動物個体でどのような役割を果たしているかを明らかにしようと試みている。

現在は、マウスやラットなどの実験動物で記憶・学習や情動などの高次脳機能の本質の理解を目指しているが、将来的にはこれらの成果がヒトの本質の理解に通じることを願い、研究に没頭する毎日である。

<続く>

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