トップページ > 医学生の進路ガイド「薬理学(1)」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医学生の進路ガイド

  • 「薬理学(1)」

<薬理学助教授R・S>

私と薬理学の出会いは恐らく子供の頃に遡る。

父は現在精神科医であるが、阪大医学部の生化学教室で研究をしていた時代がある。

研究の内容は、当時の教授の専門分野である「カテコラミンやGABA」であったことを、小学生の頃からよく聞かされた。

子供心に神経伝達物質というものに対する好奇心が芽生えた。

医学部の三回生のときに現在神戸大学医学部薬理学教授の薬理の講義を聞いて、自分の中で何か闘争心のようなものに火がついた。「面白いじゃないか。やはり親父が夢中になっただけのことはある」。

医学部に入って初めてのめりこんで勉強した科目が薬理学であった。

その後、卒業して研修医として精神科に入局し、実際に薬を使う立場となった。薬理学で得た知識を総動員して精神疾患に挑んだが、なかなかこちらの思うようには患者さんの病状は改善するものではなかった。

今から思えば当たり前であろう。対時すベきは患者さんご本人あるいは患者さんを取り囲む環境であったが、未熟な私は病気だけと必死に格闘していたような気がする。

二年間の研修を終え、神戸大学大学院に入学したとき、先生から「研究をやってみないか」とお声がかかった。テーマは「分裂酵母をモデル生物として用いた薬理学研究」という極めて斬新なものであった。

先生は、「酵母は生えてくるのに三日ほどかかるから臨床の片手間にでもできるよ」とおっしゃられた。その気になった私は研究室で実験を始めたが、気がついてみると土曜も日曜もラボにいた。それもそのはずである。

確かに生えてくるのに三日間かかるが、毎日実験をすれば毎目新しい酵母が生えてくるのだ。「はまってしまった」と思う暇もないくらいに研究は面白かった。毎日実験をして、その結果に基づいた仮説を立て、また新しい実験をするという作業はこの上なく興奮するものであり知的に充実したものであった。

私は完全に生命科学の魅力にとりつかれてしまったのである。

大学院に入学して9ヶ月目に阪神大震災が起こった。無惨にも崩壊したラボを一刻も早く復旧したい一心で、私は研究室に3ヶ月間泊まり込んだ。思えばこの大震災によって、「研究者として生きて行こう」という決意を固めたような気がする。

私は臨床医として「患者さんを治す」という道は選ばなかったが、現在の専門分野である「薬理ゲノム学」という研究を通して医学や生命科学に貢献することができれば、と願っている。

<続く>

医師転職支援会社を調べてみたいと思ったら

>>>医師転職サイト比較ランキング+口コミ評判

目次

トップページ
医師転職・求人・募集サイト比較
医師転職アドバイス
医師を取り巻く問題
医学生の進路ガイド
医師関連コラム

口コミを投稿する