トップページ > 医学生の進路ガイド「薬理学(2)」

医師と言えども転職が当たり前の時代になってきました。その理由は様々ですがやはり、「これからのキャリアプランを考えて」、「年収をもう少し増やしたい」、「仕事に忙殺されていて、もう少し自分や家族との時間がほしい」と言った、誰もが納得できる理由が多いように感じます。一度しかない人生ですから、悔いのない生き方・働き方を選びたいものです。転職に悩んでいる先生方か、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

医学生の進路ガイド

  • 「薬理学(2)」

<薬理学教授K・M>

私が卒業した頃は、生化学、生理学、解剖学という領域の垣根がかなり残っており、それぞれの領域の中で研究が行われ交流もあまりなかった。

そのため、どの教室を選ぶかというのは大問題であった。

しかし、現在は、遺伝子工学の発展をもとに、例えば分子生物学的手法で作られたノックアウトマウスを解剖学的に形態を観察し、生化学的に蛋白質の活性を測定し、電気生理学的に神経活動を調べるのは日常茶飯事となっている。

そのため、古典的な教室名はそれを主催する教授の興味の対象を具体的に表す名前に置き換えられつつある。そして、どの研究室に行こうとも、研究の方法論に関してはあらゆる分野を学ぶことが可能であり、また、駆使しなくてはならない。

となると大切なのは、一体何を研究したいのか、あるいは解明したいのか、少なくとも10年は興味を持ち続けることができる対象を選ぶことである。後はそれを最もアクティブに研究しているところに行けばいいだけのことである。

その研究対象を探すためにも、広い視野を得るためにも、基礎医学進学を考えている医学部学生には、是非、臨床を三年間経験してほしいと思う。

一般的には研究というと内科であるが、腫瘍では外科、感覚系では耳鼻科や眼科とあらゆる科が研究の礎となり得る。三年という意味は、研修二年、専門一年ということである。これは臨床の先生方には怒られるかもしれないが、大体三年やればその診療科の基本を修得して、患者を責任を持って診ることができる最小限を修得できると思うからである。

そして、その聞に、できるだけ多くの疾患を経験して、その後の研究対象を見つけてほしい。

あるいは医学部卒業前に考えていた研究対象を見つめ直してほしい。この臨床を経験できることは、他の理学系研究者には与えられない医学科学生の特権と思う。

遺伝子工学の発展のおかげで、倫理的な問題はあるにしても、患者のデータを以前よりもはるかに容易に解析することができるようになった。患者は最高の臨床の先生であると同時に、最も多様な研究テーマを提供してくれる研究の先生でもある。もちろん、臨床をずっと離れる必要はなく、興味ある症例を研究室で生物学的に数年研究するのも実り多いことだろう。

私がそもそも医学科卒業後すぐに基礎の大学院へ進学したのは、モラトリアムな学生生活を続けたいからであった。以来、長年基礎医学に身を置いて感じることであるが、基礎医学のいいところは、ここだけの話だが、気分が乗らなければサボっても大丈夫だということである(業績が出なくて困るのは自分だけ)。

臨床に疲れたら、是非、基礎の研究室で英気を養ってほしいと思う。

<続く>

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