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ある病院の院長先生とお会いする機会がありました。

その院長はこのご時勢でありながらも、総合病院を赤字から黒字に転換させた実績をお持ちの方で、各診療科の高度治療が行えるセンターなどを立ちあげた経験もあります。

お会いするまでは、どんな方だろうと想像を巡らせていたのですが、雰囲気はやわらかく、温厚な性格が表情に表れている方で正直ほっとしました。

院長先生は勤務医を雇用する立場でもあるので、数多くの医師との面談を経験されていました。そのご経験より数年前と応募される医師の傾向に少し変化が生じていると分析されました。

「数年前は専門分野を持ちながらも一般内科や一般外科症例を担当できる医師が多かったように思う。これは大学での教育が各専門分野において細分化されていなかったということも背景としてあるのでしょう。

しかしながら近年の応募者の方の希望を伺うと、症例数が多い病院、患者様を集客する立地の病院が良いなど、専門分野の実践にこだわる傾向が強くなっているのではないかと感じている。

病棟の主治医でも他科をまたぐ疾患等の担当を嫌がったりする方もあるくらいだ。

我々の時代では上司より与えられた勤務内容をこなし、不得意な分野の患者様でも勉強しながら、また教えてもらいながら一生懸命対応したものだ。

最初、雇用する側となった時には、これらの希望がなかなか理解できずに戸惑った時期もあった。

症例数が多い病院に行きたいという気持ちはわかるが、現状の医師数で対応できる症例しかないのが現実である。件数の多さを求められると少々辛く感じる場合もある。

ドクターのなかには苦労して症例を増やしてこられた素晴らしい方もおられるのだ。誰もがやりたくない分野を担っていただき、全体のバランスを取られている先生もおられる。

病院とはそれがバランスよく集まるからこそ、症例数の増加や患者数アップに繋がるのだと思っているのだ。」

確かに専門分野をさらに磨きたいと考えられ、勤務先をお探しになる医師の方々も多いのですが、病院側には病院側の意見があり、感じ方があるものです。やはりお互いが協力体制のもと、症例数増加に取り組んでいただける環境が望ましいのであろうと考えながら、お話を伺っていました。

医師が面談をなさる際、ご自身のご希望をお伝えになり、また病院から現状や今後についての診療における希望をお話をいただくケースがあります。

その際、ご専門分野と少し違っていても対応可能だと許容範囲を広げ、対応を了承される先生は面談後の評価も高い印象があります。

医師の方々が努力することに対し、病院が評価をされる、また医師の方々が勤務しやすいように病院が配慮をされる、お互いに良い関係を見つけることも重要です。

一般企業においても仕事をするうえで常に意識させられることがあります。

まず「自らの現状がどうなのか」をしっかり分析し、そのうえで、できることとできないことを明確化することです。それを理解したうえで、新たな分野やさらなる分野に取り組む。そうすることで成長した自分や新しい可能性を見つけることができます。

現状維持やないものねだりをしてしまうと自分からチャレンジしなくなり、対応できる範囲の仕事がだんだんと減ります。

そして気づいた時には、他の同様のスキルを持つ人に取って変わられてしまう結果となります。

さまざまな分野に対応可能ということは、新たなことにも取り組むことで、自らの選択肢を広げることができる、また努力することができると言うことです。

その結果、必ず成功を生むという教訓の意味も含まれた話です。何にでも貪欲に取り組み、興味を持って什事をするほうが将来において勝ち組になるということなのです。

参考になさってください。

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